仕事環境を良くしようというこだわりはいつも持っている私ですが、ツイッターを見ていると「現時点でのオフィスチェアの最適解はing」というのを目にしました。常に仕事時の椅子には気を配っているのですが、「最適解?」なんて言われて、コクヨがこういったスタイルの新しい椅子を出しているのを知らなかったので、興味があったので思いっきり調べて試座もしてきましたので紹介します。

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初めて目にしてからいろいろ調べていると、各方面の人が絶賛していて、なんだかアンバサダー的なやらしい感じを感じています。私はそういうのが一切ないので、冷静な目で見ていきたいと思います。

ああやって拡散していくと、普段SNSとか新製品ニュースとか意図的に避けている私にも目が止まるものなんですね。

前提条件:現在私の使用椅子はエルゴヒューマンで、今の不満点など

オフィスチェアに関しては、有名なハーマンミラー社の「アーロンチェア」「エンボディチェア」などを含め、一通り揃えてある大塚家具で一日かけて試座したり、私のお気に入りの「電動昇降デスクswift」を売っているオカムラのショールームでいろいろな椅子を試座しています。

結局、いろいろ考えてその時の選択はエルゴヒューマンでした。

エルゴヒューマンの良いところは「同レベルの機能で料金が安め」「しっかりした作り」「蒸れやすい体質の人にあうメッシュ」「とにかく調節機能が豊富」といったところです。

一方、かれこれ7年ぐらい使ってますが不満点は「しっかりしすぎて重たい」「機能豊富過ぎてそこまで調節しない(分からない)」「機構によりホコリが貯まりやすい」といったところです。正直、座り心地にはそれほど不満がなく、これ以上の驚くぐらい画期的な椅子があるかないか?をいつも気にして新作を試座することが多いです。

そんな中に、彗星のごとく現れたのが、全く別次元のイメージのある「リズムを作る(揺れる)椅子ing」でした。

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特に気になったのが、ホームページの紹介にある「上下昇降デスクと組み合わせで。」という部分。私自身、オフィス家具の超当たり商品が「上下昇降デスク」だと思っています。

オカムラのスタンディングデスク(Swift/スイフト)を1年半以上使用!IKEA BEKANT電動昇降式との比較

長く座り仕事をしている人には、是非「上下昇降デスク」は導入して欲しいと感じているのですが、それに合わせて椅子も同じような効果を出せるというのなら、かなり興味が出てきます。

ということでいても立ってもいられなくて試座しに行きました。

コクヨのショールームに試座レビュー

ingはコクヨ製品を売っているACTUSなどでも置いているみたいですが、邪魔されずじっくりと長時間かけて試座したいので、ショールームに足を運びました。

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ショールーム内でも「ing」はかなりスペースが割かれていて、現在一押しの商品になっています。

ingには3タイプの商品があります。

「ラテラルタイプ」・・・背もたれは、よりフリーに体を動かせるように、高さは抑えつつ、サイドのサポートを強化

「バーチカルタイプ」・・・背もたれに、体を預けながら動かすことができるチルト機構を装備

「ヘッドレスト付きタイプ」・・・バーチカルタイプにヘッドレストを付けたもの、ヘッドレストは好みに合わせて角度の微調整が可能

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また色は12色、実際に見たところ「オリーブイエロー」「ライトグリーン」あたりの健康的なカラーリングがいい感じでしたね。汚れやすいかもしれませんが、躍動感のある色のほうが「ing」には似合います。

後は骨組みを「アルミor樹脂」「白系or黒系」、キャスターを絨毯向け、フローリング向けと選択できます。個人的には樹脂のほうが軽いし安いので、樹脂系の黒、そしてカバーの色を明るい色にするとかっこいい気がしました。

数時間ほど座って感じた感想・・・

第一印象は、「なるほど面白い、バランスボールで仕事とかするのと同じような効果がありそう」でした。

この「ing」には前後左右360度自由に動く「グライディング・メカ」モードが基本になりますが、この座り心地はちょうどいいようにバランスが調節されて悪くないと思いました。安定した姿勢で作業したいときは「グライディングストッパー」というものがあり、固定モードにも出来ます。

この固定モードをしてみて気づきました。

「あれ?この椅子固定モードにしたらリクライニングとかの調整が何も出来ない・・・」

これが過熱していた「ing」に対する思い入れを冷静に判断する材料となりました。もともと有能なオフィスチェアというのはその人のその時の体に合わせて、適度な負荷分散を行って、しかもしっかりと固定して態勢を保つというものが優れていると思っています。

それに対して「ing」はその常識を完全に打ち破っているという点では、「新しいもの好き」にとっては格好のターゲットとなる商品です。つまりもともとのコンセプトが最高の椅子の提供というよりは、座り仕事自体のコンセプトを変えてやろうという意気込みで商品開発されていると思います。

私自身も、長時間座りながら仕事をするということで体に良くないと感じ、それへの対応として「電動昇降デスク」という解が最適解だったので、この「ing」にも同じような効果を期待するという人が多いと思います。

一方、この「ing」をベースの椅子にしてしまうと、もう椅子の本来持っている「座っている時にしっかりとサポートするという役目は期待できません(座り心地はそれなりのオフィス椅子レベル)」。

ここで私の椅子に求めているものを再認識できました。

  • ベッドのように長時間同じ姿勢でも適度な体圧分散で疲れない
  • 自分の体の状況や調子によって、簡単に適度な傾きに調整できる
  • 調整の方法は出来る限りシンプルな方が良い
  • 大きさや機構はできるだけシンプルで、それでもしっかりしているという難しいデザイン性が欲しい
  • 肌に常に触れている部分は、気持ちよさというのがかなり重要

こういった部分です。つまり本来椅子はアクティブに動くものではなく、どっしりと支えて欲しいというものということで「ingはなし」という結論になりました。

また1~2時間程度、この椅子に座りっぱなしだとなんとなく酔う印象がありました。これは何日かすると慣れるのかもしれませんが、しばらく使っていて固定モードにしたくなっていたので、その固定モードでリクライニングなどの調整が不可なのが致命的でした。

私の場合は電動昇降デスクがありますので、座りっぱなしを感じたら机を動かして立って足踏みとか、腰ひねりすればいいですので、椅子はやはり本来の求めるものを今後も追い求めようと思います。

オフィス椅子に求めるもの

今回、「ing」は私には合わないと思ったのですが、オフィス椅子に求めるものは何だったのかもう一度再認識するきっかけになりました。

エルゴヒューマンを購入した時に感じたものは、ある程度10万以上するような高級オフィス椅子というものはそれなりの値段の価値があるということです。もちろん「イケア」「ニトリ」といった量産家具の椅子がその人の体型に合えば、それでもOKとなる場合もありますが、値段が高い椅子にはそれに見合った価値があるという見方をしています。

また、ベッドもそうなのですが椅子は接地している時間が長いですので、コストパフォーマンスを考えると高くても自分にあった椅子を利用している方が、利用価値が高いと思っています。

それだけ高い椅子にはなるほどと思わせるデザイン・質の違いがあります。

そこで「1つ目の要件」として、それなりに高い価格で売っているものをターゲットにします。市場が選別してくれているイメージです。「2つ目の要件」は長時間座っていても心地良い質感・体圧分散、サポート力。「3つ目」に使い勝手(操作性)です。

現在のエルゴヒューマンは操作性はやや硬い部分があって、そこはもう少し改善できないか?またあまりにもしっかりし過ぎていて取り回しが重たいので、そこももう少しシンプルなもので質感が高い(長時間使っていて気持ちがいいもの)を探しています。

ただ、現在のエルゴヒューマンもかなり検討して選んだものですので、不満はそれほど多くなく、これに変わって購入しようとするまで、ピンとくる商品にまだ会っていないです

今回、コクヨのショールームに行ってみて、コクヨって日本製の事務用品としてオカムラなどとライバルなんだなと感じました。それなので「ing」意外にもオフィス椅子はある程度ラインナップがしっかりしていました。

またオカムラの電動昇降デスクは「swift」ですが「sequence」という名前でほぼ機構などが同じ電動昇降デスクもデビューしています。後出しなのでパクリ感がありましたが、ついてるボタンリモコンは全く同じでした。つまり商品開発の考え方は似ています。

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こうなると私はオカムラの電動昇降デスク「swift」をかなり気に入っていますので、オフィス椅子も合わせるならオカムラから選んでもいいなと思いました。

オカムラからは人気のコンテッサに「セコンダ」というバージョンアップ品がありますね。世界標準の耐久性ということで少しずつ質感がアップしてそうです。

外国製の椅子を選ばなくても日本のオフィス家具も垢抜けてはないですが、しっかりしたものは多いです。

そういった市場で長く売り続けているブランドで選ぶのもありだと思いますので、コクヨにするにしても「ing」に拘らずにオフィス家具をいろいろ見ると楽しいかもしれません。

ingの効果や感想は正直、一日や一ヶ月ではわからんと思います。

今回のタイトルに対する結論はこれです。「ing」は最初の利用では驚きがあるため衝動買いしやすいですが、1年経っても慣れるかというのが非常に疑問が残りました。

今は初物に触れて衝動買いしている人がたくさんいると思いますので、1年ぐらい立ってもオフィス椅子の進化系として売れ続けているかが指標になると思います。

ちなみにホームページのエビデンスに関しては個人的には「懐疑的」です。体が動くことで様々な良い面がありそうなのは分かりますが、しっかりとサポートされていないデメリットも少なからずあると思っています。

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例えばこれ。他の椅子との比較になっていないのですが、椅子に60分座って読書していたら普通に集中力は増している人が多そうですが、他の椅子での測定値なども知りたいところです。

最近はエクセサイズマシンに乗りながら仕事なんて人も、話題としてたまに見ますがどれだけそれが続いているのか疑問で、やはり集中力というのはしっかりとしたサポートがあってできるものだと思うんですがね~。どうでしょうか?

バランスボールを導入してバランス崩して、怪我したという人が世の中には結構いるようですが「ing」ならそんな心配はないですね。出来ればバランスボールに乗って仕事したいと考えている人には、やはり最適解かもしれません。値段も10万程度なので、オフィス椅子としては出せる値段だと思います。

買う時はコクヨはアマゾンでも公式販売があるので買いやすいですね。10万程度の商品になります。オススメは躍動感のあるカラーリングでしょうか?個人的にはヘッドレスト付いていて欲しいですが、椅子のコンセプト的には要らないのかもしれません。

というわけで「ing」試座レビューでした。