前々から行ってみたかった六甲全山縦走大会に参加してきました。この大会を知ったのは宝塚に引越ししてきたからで、宝塚がこの縦走のゴール地点になっていること、この大会の元?になっていると言われる「孤高の人」という小説を読んで、せっかくゴール地点に住んでいるのだから一度はやってみたいという気持ちで目標を立てていました。

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孤高の人は明治初期ころに社会人登山家の道を切り開いたと言われる「加藤文太郎」さんをテーマにした小説です。小説は上下巻あって結構長いのですが、個人的には孤独に攻めるところは好きでしたが、階級の差と恋愛テーマの部分はややしらけて読んでいました。

孤高の人 1 (ヤングジャンプコミックス)
坂本 眞一
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漫画にもなっているのでこちらの方が読みやすいかもしれません。

六甲山全山縦走の概要

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六甲山全山縦走は神戸付近で山登りが好きな方には有名みたいですが、意外にも紹介ページなどあっさりしていて情報があまりありません。概要としては神戸の西の須磨浦公園駅付近から、幾つかの山を超えて、最後に宝塚駅付近まで尾根伝いに歩くコースです。

公称のコース距離は56km

最高峰は六甲山で931.3m

となっています。毎年11月に2回実施していて2週目の日曜日と11月後半の祝日勤労感謝の予定が多いみたいです。2017年で大会としては43回目、昭和50年からやっているようです。

毎年2日合わせて4000人程度の参加者で完走率は80%台で推移しています。

スタート地点の須磨浦公園で一番早くて5時スタート、ゴールの宝塚は22時40分まで受け付けています。長くて17時間40分歩いてゴールを目指します。

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私は5時過ぎに須磨浦公園について、最終宝塚ゴールは8時30分ごろでした。そのレポートをこれから初めてだけどやってみたいという人のために残しておきます。

六甲山全山縦走のレポート

スタートポイント須磨浦公園の渋滞・・・

初心者でしたので家族の車で送ってもらって5時ちょうどぐらいに須磨浦公園に付くよう出発しました。ただ、着いたのは10分程度遅れてでした。そのとき目にしたのが、国道2号線まで続くスタートのチェックを待つ人々です。

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グーグルマップで紹介するとこんな感じです。多分、5時に行っても受付スタートしないので徐々に列が伸びていく感じなんでしょう。ただ、スタートの受付は手際が良いので、長い行列だけれども意外にもすぐにスタートできる感じでした。私も15分ぐらい出発するまで掛かったかな程度です。

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スタートポイントは海の近くなので海抜0mに近いです。そこからロープウェイが通っている鉢伏山を上ります。最初から急に登るのでここはオーバーペースになりやすく注意かもしれません。

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一通り登りきると明石海峡大橋や淡路島が見えます。ここまで来るとやや明るくなっていました。

そこからは「高取山」超えが第一チェックポイントの菊水山までの一つの山となる部分だと思います。菊水のチェックポイントでだいたい3分の1程度だと思うのですが、1つ目のチェックポイントがなかなかこないので、自分のペースで大丈夫なのか不安になりました。

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ここで「馬の背」と言われる縦走する時に写真で載っている名物ポイントや、高取山には高取神社があって普通の登山者にも参拝者にも賑わっているポイントでした。最初の方は山の登りの渋滞が結構激しいです。ですのでペースを上げていっても結構渋滞にハマるので、その時に落ち着ける感じでした。

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菊水山に登る時は、たまにお世話になっているショートコース「菊水ゴルフクラブ」が綺麗に見えていました。

私が菊水山のチェックポイントを通過したのが、チェック締め切り時間の45分前ぐらいでした。5時過ぎにスタートしているのにここで後から「赤鬼(縦走で最終時間あたりを歩いている)」に捕まりそうな雰囲気で、このあたりでやや焦り始めました。

ピッチを早めて2つ目のチェックポイント摩耶山に向かったのですが、登りに関してはこの摩耶山への道が一番きついようです。

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私は登山で登りに関してはあまりきついと感じない体質で登山には向いているかもしれないので、意外とさくさく進めました。むしろ摩耶山前でやはり渋滞していましたので、そこで十分な休憩が取れたので安心して進めたかもしれません。

なお、摩耶山のチェックポイントは15時だったので、ギリギリからは50分前で若干巻いたペースだったみたいです。チェックポイントは摩耶ロープウェー山上駅の掬星台というところで、神戸の景色が非常に綺麗でした。ここで神戸の中心部の三宮が西側になるので、少しだけ進んだ感が味わえます。しかも、ここを超えると後は六甲山が最後の山ポイントなので、登りが苦手な方はここまでくれば自信が出てくるかもしれません。

摩耶山では「ホットレモン」が貰えます。これが体に非常に染みて元気が出ます。

摩耶山から六甲山までは尾根沿いなので、一旦下るようなことがあまりなくペースが上がります(摩耶山までは山と山の間を下って住宅街に行くことが多い)。ただ、距離は結構あります。途中、登山道と車道が頻回に交差するので、登山道がきついと感じる方は車道を通る人も多そうです。でも舗装路は足に負担が大きい場合もあるので、この選択は人によりますね。

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3つ目のチェックポイント一軒茶屋の前に六甲ガーデンテラス(展望台)を通りますが、遅めでリタイヤする人は一軒茶屋でなくここじゃないと最後の交通機関がないようです。

ここを超えると間に合わなくても、結局宝塚まで歩かないといけません・・・。もしかしたら一軒茶屋で無理と思えば1時間掛けて近い有馬温泉に行くという人もいるのかもしれませんが、ここを超えたら出来れば完走まで行きたいですね。

なお、私は一軒茶屋に5時30分頃に着きました。ここれでも最終からは1時間程度早いのでペース的にはこのあたりで安心した記憶があります(最後まではいけるだろうと考えれた)。

残りは下りが多いのですが、下りがかなり長く続くのと急なので結構脚にダメージが大きいです。また、夜になるので寂しく寒い為、体調不良になりやすいというのもありそうです。私も実は下りが一番しんどくて、最後の塩尾寺を超えてからは極端にペースが落ちました

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でも塩尾寺を超えると、住宅街や街が見えてきますので到着した安心感はあります。脚は痛くても、横向きに降りたり、休み休みいけばゴールは出来るでしょう。個人的に怖いのは一軒茶屋を超えてから膝痛めたり、体調不良になるとかなり可哀想だと感じました。

暗い夜の中、各ポイントにボランティアの方が立ってくれているのが本当に心強いです。

ざーっとレポートしましたが、全体を通して感じたのが、「渋滞ポイントが結構多い」「最初の方はトイレも渋滞(いけるなら先進んだほうがいい)」「登りでバテる人にはタイム的に厳しい」「早めに脚が痛くなってもリタイア覚悟」「後半の下りはなれてない人は足の疲労が大きい、つま先痛い」「ボランティアが非常に助かる」といったところです。

ゴールした時は、もう何が大変だったか覚えていないぐらい疲れていましたが、完走証と記念の盾を貰うと自然に笑顔になれました。

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毎年縦走に出て盾を集めている人もいるみたいですね。山登りは健康のためにもいいですし、これが出来ると記念にもなると思いますが、私はそこまででもないので1個貰えれば十分です(笑)

六甲山全山縦走は初心者でもいけるのか?

恐らくネットで検索する人は初心者でもいけるのかな?という人が多いと思うので、私自身がそうでしたので初参加者、初心者に向けて書いてみたいと思います。

普段山登りをしない人や六甲山全然縦走が初めての人は「事前の準備」が大切でしょう。その中でも2つ「しっかりした装備の準備」「体力的な準備」です。

縦走に向けた持ち物の準備

持ち物に関しては大会からの冊子にも書いていますが、何が重要なのか?記載があっても不安な人がいるかもしれません。ですので、私が持っていったもので絶対必要だったものや、欲しかったものをリスト化しておきます。

  • ヘッドライト
  • 開催時期が11月なので17時頃には暗くなってきます。周りに縦走の人がいますが、ヘッドライトなしは自殺行為です。また手に持つ懐中電灯は持ってられないので、このためにもヘッドライトは買うことをオススメします。

    実は私は前日までこのためにヘッドライト買うのももったいないと思って、家にあった手に持つ懐中電灯で行こうとしていました。スポーツ用品店にたまたま行く用事があったのでヘッドライト買ったのですが、これないと本当にきついと思います。殆どの人がちゃんと装備していました。

  • 登山靴よりも山登り用の靴下
  • 実は私は登山靴でなくて普通のスニーカーで行きました。登山靴は脚の保護や歩きやすさに優れていると思いますが、縦走は舗装路を歩く部分も多く、私にはゴツゴツした登山靴がどうも好きになれないからです。恐らくちゃんとした登山靴ならもっと足先が痛くならないで済んだと思うのですが、とりあえず普通のスニーカーでもいけました。

    でも天候が悪かったりすると、防水性もしっかりしている登山靴は必須になりそうです。

    それよりも買っといてよかったと思ったのが登山用の厚手の靴下です。私の場合は蒸れも気になったので5本指ソックスにしました。5本指は好みもあると思いますが、長距離を歩くのでなるべく衝撃を吸収する厚手のソックスを用意しておくことをオススメします。

    ちなみに地下足袋で歩いている人もいました。地下足袋も好きな人には結構使いやすいんでしょうね。

  • その他の登山用服装は?
  • 後は朝から晩まで一日中歩くので、朝と夜は冷え込むけど、途中の登りでは汗を掻くような感じになります。その為、重ね着して調節できるスタイルが良いです。

    薄手で重ね着してもごわつかない下着を何枚か重ね着(一番下はスポーツ用の肌触りが良いものオススメ)、そして一番上に風や雨を防ぐジャケットが良いです。私はゴール前ではユニクロの袖なしのライトダウンを内に着て、その外にキャンプ用のレインコートでした。

    特に終盤は下りで非常に寒くなります。風を通さないようなジャケットを着ないと体が冷えますので注意が必要です。手袋も冷えを防ぐにはしていったほうが良いです。私は100円均一で汗で暖かくなる素材の手袋で行きましたが、それで十分でした。

    汗を本当によく書く人は、下着は多めに持っていったほうが良いでしょう。ゴールしたらナチュールスパという温泉施設が近くにあるので、そこに行くためにもやや多めの下着があったほうが良いです。

  • 食料品(食べ物・飲みもの)
  • 食料品は基本的に歩きながらでも食べれるようなものがおすすめです。メインはおにぎりでしょうか?私はパンよりもおにぎりのほうが腹持ちがいいので、こういった長時間運動する時はごはんが好きです。当日の朝にコンビニで買えるかもしれませんが、前日夜に揃えておいたほうが好きなもの買えるかもしれません。

    私は4時台のコンビニで補充しましたが、この時間のコンビニってまだ朝のおにぎり補充されてないことが多いです。時間が許せば、家で軽くおにぎりと冷凍からあげ、ゆで卵ぐらい持っていくと安上がりで便利です。

    補助食としてはゼリータイプのVAAMとスローとか一本満足バーといった手軽に栄養補給できるものを持っていき重宝しましたが、こういったものは味が甘いので、塩分を含むものも欲しく感じました。

    ただ、おかずも欲しかったので「チーカマ」のような塩味系のおやつも持っていけばよかったと思いました

    一応、途中途中で商店とかテントで食料品を売っていますが、あまり当てにせず自分で最後の分まで持っていって、余ってもいいやぐらいにした方がいいです。

    ドリンクですが、私はスポーツドリンク500mlx2を持っていきましたが、途中で缶コーヒー1本、スポーツドリンク500mlx3を自動販売機で買いました。自動販売機はチェックポイント付近であるのでドリンクは買えますが、最初の方のポイントでは売り切れや釣り銭切れも多かったです。

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    運動前や最初の方はヴァームなどのアミノ酸系飲料がオススメ。体脂肪燃焼をサポートするので長時間の持久力アップに繋がります。

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    後半はアミノバリューが疲労感を減らすという意味で飲みやすかったです。BCAAが体の疲労感を和らげるそうです。良くドラッグストアなどで疲れてたら酸っぱく感じるといわれる飲料売っていますがそれ系です。飲みくちもスッキリしています。

    ドリンクは多めに持っていくと重いので、一応途中で買えると思っておいてもいいでしょう。

    逆に小銭を多めに持っていきたいですね。

    途中の自販機で買ったアミノバリューという疲れを取るクエン酸系飲料は良かったですね。スポーツドリンクは最初は燃焼系タイプ、後半は疲労感を和らげるタイプがいいと思います。スポーツドリンクは甘くて後味が苦手な方はミネラル豊富な麦茶最強ですね!水筒に温かいまま入れておくと、体の中から温めるのでいいでしょう。

  • 救急用具・薬
  • 私は結局使いませんでしたが、バンドエイドや痛み止めなどは保険や安心のためにも持っていきたいところです。お腹痛とか頭痛が起きる人は早めに薬を飲んでおけば安心かもしれません。

    持ち物的には防寒対策や夜の明かり対策などをしっかりして、安心感ある装備をすることが精神的ゆとりにも繋がると思いました。使わなくても、しっかり対策しておくことで心に余裕が生まれるということで実は必要だったと完走した後に感じました。

    書き忘れましたが、やはり登山用のリュックに入れていきましょう。持ち物は軽くしたいけど、持ちやすいリュックに多めに入れておけば、ちょっと多めに用意してもそれほど疲れないと思います。

    縦走に向けた練習・体力面での準備

    縦走コースは登る高さを全部足すと3000mになるようです。富士山の5合目から登頂する富士登山の約二倍みたいです。そして距離は50km以上で、北アルプス登山で1泊したりするようなコースを1日で歩いてしまうとのことです。

    ですので普通の登山よりは、ストイックなことをするイベントに出るという心構えは必要になります。でも、初心者の方でもしっかりとした準備さえすれば、しっかり完走できるイベントでもあります。歩いている人も老若男女いろいろな方がいました。

    普段山登りして鍛えている人は感覚がわかると思いますが、そうでない人は必ず大会前にある程度の距離や高さの山を練習で登っておきたいところです。

    私の場合は幸い宝塚に住んでいますので、縦走逆コースを「宝塚から六甲山山頂まで」一度練習で歩いて、走破タイムを見ていました。これは非常に良かったと思います。縦走コースの終盤コースを知ることが出来たので、心の余裕が生まれますし、六甲山山頂付近までいけば自分が既に歩いたことがある道と残りは自信が持てます。

    関西近辺にいる方は、縦走逆コースで宝塚から六甲山山頂に登って、そして近くに有馬温泉までいけますのでそのコースでの練習がオススメです。ついでに有馬温泉も楽しめて、歩くこと自体は約半日です。

    大会の公式的にも「縦走コースの3分の1や半分」を1~2回歩いておきたい。遠方の人なら30km程度の山道を近くの山で2~3回歩いておきたいと載っています。都合が悪くても「ぶっつけ本番」は富士山登頂よりも厳しいと思っておきたいですね。

    大会で完走できなかった理由として一番多いのは「膝、足の痛み」、次に「チェックタイムに間に合わない」というものです。痛みが出ると残念ながら潔く諦める事も必要かもしれません。また、遠方から来るなどして睡眠不足で体調不良という方も多いみたいなので、出ることが決まったら早めに宿の確保など、体調面を整えることも大切かもしれません。


    今回、1日掛けて長い登山をしましたが、山登りって自然に囲まれてリフレッシュできるのに良いなと思いました。私はフルマラソンも何度か走りましたが、フルマラソンよりも山登りのほうが向いていると思いました。

    歩くことになるので時間がかかりますが、忙しい現代においてゆっくりと時間を使って一つの山を登頂していくという運動は体も心もリフレッシュされる気分になります。

    普段パソコンの前に座ってばかりの毎日で、育児などでなかなか自分の時間がない生活ですので、非常に贅沢な時間を使わせてもらった感覚です。

    山登りは年をとっても健康的に生活できる秘訣の一つかもしれません。足や腰が痛くなれば山登りできませんし、走ったりではなく歩くのでハードな運動ではありません。それでも心身は鍛えられやすい運動だと思います。

    六甲山全山縦走は達成感も掻き立てる楽しいイベントだと思います。とりあえず山登り初心者でも挑戦できるとは思いますので、私のレポートを参考に一人でもやってみようという方が増えたらいいなと思います。